図書館コラム

アメリカ図書館界を俯瞰してー2016(その2)

アメリカの大学・学校・公共図書館それぞれの状況、および図書館界全体の現状について簡単に紹介するシリーズ「アメリカ図書館界を俯瞰して」2016年版。前回はALAが考える変革と課題についてお伝えしました。今回は、アメリカの大学図書館と気になる雇用・給与事情についてご紹介します。
※この内容はアメリカ図書館協会(American Library Association, ALA)が発行する『State of America's Libraries Report 2016』より一部抜粋し翻訳したものです。より詳細な情報を知りたい方は、原典をご参照ください。

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■アメリカの大学図書館:利用者の評価、ラーニングコモンズ

The Association of College and Research Libraries Assessment in Action Programが実施した調査の結果、大学図書館が学生の教育にもたらすポジティブな影響として、下記の5項目が挙げられました。


1)新入生の情報リテラシーの向上
2)図書館の利用と学生の成績向上の相関関係
3)図書館オリエンテーションの実施と退学者数の減少の相関関係
4)学生支援を目的とする全学的な協力体制への寄与
5)リサーチ支援サービスを通して学習効率の促進に寄与


さらに、アンケートに答えたchief academic officersのうち、実に57%が大学図書館のリソースとサービスが「とても効果的である」と答えました。この結果は「オンキャンパスでの授業や指導」「オンラインコースやプログラム」「学術支援サービス」「リサーチや奨学金」「事務情報システム」「データ分析や組織分析」を凌ぐ数字とのことで、教員や学生が図書館に寄せる信頼と期待が如実に表れているような気がします。

また、ラーニングコモンズについては予想にたがわず、学生同士のコラボレーションを促進するスペースの確保がおよそ90%の大学において重要事項であり、多くの図書館が学生のメディア横断型コンテンツ作成を支援すべく、マルチメディアプロダクション用の空間やツールを導入しているとのこと。


■どうしても気になる!?アメリカの雇用・給与事情

事実だけ、どどどっと箇条書きでお伝えします。

・ 大学院・研究機関における図書館スタッフの雇用は平均49.58名。
・ その他の大学などの教育機関における雇用平均は10.8名。
・ 2015年度の新卒の内定者のうち、26.7%が大学図書館に就職。
・ 初任給の平均は$42,000(約450万円)
・ 新しい職務にはデータマネージメント、データ分析、デジタルアーカイブ、情報セキュリティー、そして地理空間情報などが挙げられている。

また、給与および人件費が図書館全体の予算のなかで占める割合は、平均で 57.3%、短大で77.9%、baccalaureate機関で52.7%、研究機関もしくは博士 課程の図書館で44%でした。


次回は、アメリカの学校図書館、職員とのリエゾン、デジタルリテラシーの砦、ガイドラインの遵守などのテーマでお届けします。お楽しみに!


RESOURCE: American Library Association, "State of America's Libraries Report 2016," accessed April 18, 2018, http://www.ala.org/news/state-americas-libraries-report-2016.