図書館コラム

アメリカ図書館界を俯瞰してー2016(その1)

アメリカの大学・学校・公共図書館それぞれの状況、および図書館界全体の現状について簡単に紹介するシリーズ「アメリカ図書館界を俯瞰して」、2017年は前回で終了したので、今回から2016年の情報をご紹介します。
※この内容はアメリカ図書館協会(American Library Association, ALA)が発行する『State of America's Libraries Report 2016』より一部抜粋し翻訳したものです。より詳細な情報を知りたい方は、原典をご参照ください。

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■ALAが考える変革と課題

報告書を読み進めていくと、"Libraries Transform"キャンペーンを説明するセクションの中に「図書館の変革」について書かれた次の一節があります。


"The (Libraries Transform) campaign showcases how libraries transform both communities and the lives of individuals, how libraries continue to transform to meet rapidly changing 21st-century needs, and how library professionals continue to transform to meet the evolving needs of the communities in which the serve."


つまり(かなり掻い摘んで言うと):

1. 図書館が市民の生活とコミュニティーを変革する
2. 図書館が新しいニーズに合わせて変革する
3. 図書館司書(library professionals)が地域のニーズにあわせて変革する

以上の3つがALAが考える「変革」ということになります。

図書館が「変革」を目指すということは当然、課題もたくさん出てきます。

ALAはそのなかでも「新しい役割をもとに図書館を評価する基準の欠如」を最重要課題の一つとして設定しています。今までの伝統的な評価基準は日本でもおなじみの貸出冊数や来館者数、イベント参加人数などですが、これらの数字をどれだけ集計・集約したところで変革する図書館を正しく測ることはできません。正しく測ることができなければ大学組織や地域行政に対していかに図書館が有益なのかを伝える説得材料になりませんので、当然予算の獲得にもつながりません。したがって「変革」を目指すだけでは片手落ちで、アメリカの図書館界では新しい評価基準を設けることが目下の課題となっています。


そこで注目されているのが「Outcome」という考え方。Outcomeとは利用者行動の変化を測る基準でInstitute of Museum and Library Services (IMLS)は「プログラム参加者のスキル、知識、態度、行動、状況などにおける目標達成あるいは変化」と定義しています。


Outcomeを根幹とする評価基準はすでにある程度できあがっているようで、大学図書館の領域ではIMLSの助成金で作成されたAssessment in Action Programや公共図書館の領域ではゲイツ財団を財源とするProject Outcomeなどが代表的なプロジェクトにあたります。


次回は、アメリカの大学図書館について、利用者の評価、ラーニングコモンズ、そして気になる給与事情などを見ていきたいと思います。お楽しみに!


RESOURCE: American Library Association, "State of America's Libraries Report 2016," accessed April 13, 2018, http://www.ala.org/news/state-americas-libraries-report-2016.